
痛彼
第8章 昔話を少しだけ…
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そのあとのことは、あまり覚えていない。
覚えているのは、
赤く染まった玄関と、諦めた顔をした医者がいる病院だけだ。
・・・それからだ、俺が葵を異常と言われるくらい守るようになったのは。
葵にすがった俺とは違って、葵は笑顔を無くさなかった。
あの母さんや父さんの様に、周りに笑顔を振り撒いていた。
葵は強い。
でも俺は、知っている。
夜中、静かに泣いていたこと
俺にも見せなかったこの弱さは、アイツ…成瀬は知ってるのだろうか。
アイツが、
『それも含めて』葵を愛しているのなら、葵をアイツに任せたい
・・・言わないけどな!!
