
天然小悪魔な妹とヘタレな俺
第12章 ~いもうと~
電気もつけず月明かりだけが部屋を照らす。
間近だから薄暗くても凛音の表情はよく見える。
ちっともそんな気分じゃない。
けど、今、無償に凛音に抱きつきたかった。
ギシっと、ベッドの軋む音が鳴る。
答えれず、ジッと見つめていた俺に凛音は唇を重ねた。
温かい……感触。安堵を感じる。
塞ぎこんだ俺の心に温もりを与えるような優しいキスだった。
「ごめんね、ちょっと心配だったの」
「不安……だったのか?」
凛音は少し視線を反らし、そして再び俺を見る。
「うん、お兄ちゃん深刻な表情をしてたから。ねぇ、お兄ちゃん……わたしのこと手放さないでね」
