テキストサイズ

陽が当たらない場所で

第2章 願い事


一番聞きたい声なのに、
今は一番聞きたくない声。


本当は、わかってる。涙が出ることを。


その理由が、健太だってこと。

だけど、一番に私だってこと。


過去に戻りたい。あの頃をやり直したい。



出来れば、また笑顔で話したい……。


こんな涙なんていらない。
無くなればいいのに。


こんなことを思うたびに、
また涙が出る。


「あなたのことが好きです」


こんな一言すら言えないなんて。


もう、自分が嫌になる…!

…消えればいいのに!



私は、暗い夜道をただ、

自暴自棄のように走った。



涙が止まらない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ