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陽が当たらない場所で

第3章 硝子の心

俺は、わざとあいつに
向かって言った。


「ここ見えづらいんだけど…」

するとあいつは、
何かを考えてから言った。

「目悪いもんなー。席変わってやるよ」


ニヤけが笑いに変わってた。


なんて、単純な奴なんだ。

俺の好きだった女子と近くに
いたいなら、言えばいいのに。

俺は、もう『好き』じゃない。
『好きだった』んだ。


席を移動する。

あいつとすれ違う際に、
「おまえ、優しいなありがと」
と言っていたが俺は無視をした。


だからなんだ。

そんな嘘くさい言葉信じられるかよ。

お前の『やさしい』は自分より弱い立場の奴に言う言葉だろ?お前はいつもそうだよな。

そうだろ?
そんな言葉なんか、
要らねぇよ。


もう、何も言わないでくれよ。
これ以上、傷つけないでくれ…

涙が出そうだ。
きっと、舐めたらしょっぱいだろうから


もう、誰も、近づかないでくれ。


俺は、もう、何もしたくないんだ。


もう傷つけられたくないから。

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