“さくら”が散る前に…
第3章 彼女の秘密
「でも そんな時 たまたま図書館で“桜”の写真集を見つけたの。それで…私ね 最期に桜を見てみたいな……って…だから みんなに凄いわがままなお願いをしたの…みんなにも迷惑がかかるって わかってた…でも どうしても ここの桜並木を見てみたくて…だから ここに引っ越してきたんだよ…ふふっ……自分の名前だから“桜”が好きって…凄く単純だよね……」
彼女はそう言って立ち上がり
「ねぇ…杉村君……このことは 誰にも言わないで…杉村君も 今まで通りにしていて…」
俺も 立ち上がって
「………相沢さんは…本当にそれでいいの?」
と 彼女に聞いてみた
すると彼女は
「………え?」
と 少し困惑したような声を上げた