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紅姫と黒猫の夜

第1章 悩み

そして同刻

(シンドバッド様……あなたはいったい今なにをしていらっしゃる?誰のことを考えておられるのかしら……?)

紅玉は自室で考え事をしていた。

それというのも、義弟の留学の付き添いで行ったシンドリア王国の国王、シンドバッドに恋をしていると気づいてしまったからだ。

(きっと本当は初めてお会いしたときからずっと………)

紅玉は叶わぬ恋に胸を痛める。

我が国の大切な神官を傷つけた、大嫌いな男のはずだったのに、これが恋だと気づいてしまうと、あの異国の王が愛しくてたまらなくなってしまった。

頬が熱くなるのを感じ、思わず袖で顔を覆う。

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