紅姫と黒猫の夜
第7章 二人で
…次の日の朝。
紅玉の従者夏黄文。
彼は、紅玉姫の部屋に向かっていた。
途中で、銀行屋に出くわす。
「夏黄文殿、神官殿をご存知ないか。昨夜からいらっしゃらないのだが。」
「いえ、見ておりませんね。神官殿のことですから、また城の屋根にでもおられるのでは?」
「それが、いらっしゃらないんですよ。して、夏黄文殿は紅玉姫のお部屋へ?」
銀行屋は問う。
「ええ、姫を起こしに。」
「では私も参りましょう。うちの神官は紅玉姫のことを大分気に入ってらっしゃる。一緒に寝てるかもしれませんぞ…………ははははっ」
「かもしれませんね!ははははっ!!」
二人は冗談を口にしながら紅玉の部屋に向かう。