紅姫と黒猫の夜
第1章 悩み
紅玉の身分は第八皇女。
八人姉妹の末である彼女は、本当ならすぐにでも政略結婚に出される身。
しかし、貴重な戦力である金属器使いということで、今まで出されずに済んでいるのだ。
…破談になったバルバット国王との婚姻を除けば。
「夏黄文…私お茶がしたいわぁ。紅覇お兄様をお呼びしてちょうだぁい。」
(やっぱりこういう話は仲良しの紅覇お兄様とするのが一番良いわ。)
彼ならきっと紅玉では思いつかないような考え方で解決するに違いなかった。
「はっ!すぐに。しかし姫、兄上はお忙しいのでは?」
「……夏黄文、私の言うことがきけないの?」
「…申し訳ございません。すぐに。」