紅姫と黒猫の夜
第9章 想い
そもそも、夏黄文自身が、紅玉とジュダルの間柄を認めたくはなかった。
(ん?でも待てよ?このガキはマギなんだろ?王の選定者、王よりも強い人間だ!!二人が結婚すれば、俺の身分も……!!よし、紅玉姫をその気にさせよう。)
一瞬で自論をひっくり返すと、夏黄文は言った。
「神官殿、いたされるなら、神官殿のお部屋をお使いになっては…?女性の寝台で事をなそうなど、酷というもの。皇帝陛下も、マギたるあなたにならば、紅玉姫を差し出されよう。」
自信満々に、少し強めに言った。
これにはさすがに紅玉もジュダルも目を丸くする。
それもそうだ。
さっきまで一緒に寝ていたのを怒っていたのに、今度は一緒に寝ろと言い出したのだから。
紅玉の顔がみるみるうちに真っ赤になる。
「私が、ジュダルちゃんとっ、ジュダルちゃん、の、部屋でっ、いたす…、なんてっ、そんなことっ、あるわけ…、」
と、今度は真っ赤になったまましどろもどろに否定し始める。