紅姫と黒猫の夜
第9章 想い
そして…
「いえ、結構です。」
なんとジュダルまでもが、敬語で夏黄文に頭まで下げたのだ。
その面もちは、顔面蒼白といったところ。
おそらく、話が重大すぎて頭がついていかず、自分がなにをしているのかすらわからない状態なのだろう。
プライドの高いジュダルが頭を下げるのなど、夏黄文も、紅玉でさえも、見たことがなかった。
(もぅ!!夏黄文ったらっ!!私がジュダルちゃんといたすですって?!どう考えてもありえないでしょーがっ!!)
紅玉は夏黄文に憤りを感じていた。
しかし同時に、ジュダルに恥ずかしさを感じていた。
この話を聞いて、ジュダルがどう思っているのかが気になった。
(少しでも期待してくれてるといいなぁ…)
紅玉のジュダルを見つめる視線が変わっていった。
(私…よくわからないけれど…ジュダルちゃんのこと…………)
紅玉はハッと気づいてジュダルから視線を逸らす。