紅姫と黒猫の夜
第10章 兄
紅覇は、ジュダルのことが好きだ、という報告を紅玉に受けてから、あることを考えていた。
まだ自分も紅玉も幼かった頃の事だ。
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ガリガリ、ガリ、ガリ
稽古を抜け出してきた紅覇は、ふとそんな音を耳にし、音のする方へ足を向けた。
音は、そのすぐ近く、ある部屋から聞こえてきた。
紅覇のたった一人の妹、紅玉の部屋だった。
キィ……
「紅玉?なにしてるの?」
紅覇はそっと部屋の戸を開いた。
名前を呼ばれて、紅玉の肩がピクリとと震える。
「な、なんだよこれっ!!」
床には血が広がっていた。