紅姫と黒猫の夜
第10章 兄
バタバタバタ
沈黙を破ったのは、せわしない足音だった。
バンっ!!
「紅覇様!!皇子殿下、姫様、ご無事です!紅玉姫は、ご無事ですっ!!私がこの目で確認いたしました!」
飛び込んできたのは、紅覇の部下、関鳴鳳だった。
「何っ!!みんな行くぞ!………っ紅覇?!」
紅炎が先陣を切ろうとしたが、それよりも先に紅覇が走り出す。
「紅玉に、話があるんだ!!」
もう紅覇は泣きやんでいた。
安心した顔だった。
紅覇は、すぐに紅玉の部屋に向かった。
「紅玉!!」
部屋には、腕に包帯を巻いた紅玉と、ジュダルがいた。
「おー、紅覇来たな。じゃ、紅覇、紅玉頼むぞ-」
そういい残してジュダルはさっさといってしまう。