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紅姫と黒猫の夜

第10章 兄


「紅玉?僕も……紅玉とおんなじだよ?僕の血も………汚いんだ。」

紅覇の言葉に、全員が言葉をつまらせた。

「だからもう……こんなこと、しないで。紅玉が死にたくても……僕は紅玉に死んで欲しくないから。悲しくなったら、僕に言っていいんだよ?紅玉は僕の妹で、僕と紅玉はおんなじなんだから……」

わがままで甘えん坊の紅覇とは思えない言葉だった。

紅覇の言葉で、紅玉の瞳から、堰を切ったように涙が溢れ出した。

「みんなっ゛みんなわたくしのこ゛とがきらい゛なんでしょう゛?」

「僕は紅玉が好きだよ。」

「おにい゛さまぁっ……こ、こう゛はおにいさまぁぁっ!…うわぁぁ…」

幼い紅覇は、幼い紅玉をずっと抱きしめていた。

ずっと。

ずっと。

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