紅姫と黒猫の夜
第12章 告白
《紅玉姫が、やっと神官殿を好きになったらしい。》という話は、あっという間に広まった。
でも、これまた見ていてむず痒くなるもので、お互い好きなくせに、全くお互いの気持ちに気づいている節がないのだ。
だから、二人の関係になんら変わりはない。
ちょっと触れただけで紅玉が赤くなるくらいのものだ。
でもそれでも、そのむずがゆさが信憑性を増し、なんとこの話しは、皇帝と皇后の耳に入るまでになった。
「まあ…紅玉とジュダルもやっとですね、陛下。」
「ああそうだな。私も我慢できなくなってバルバットへ出したのだが、破談になって良かったな。」
「ええしかし、マギたるジュダルならば、ルフの変化で気づくと思ったのですが、そうでも無いようですね。」
「ああ。よほど紅玉のことしか見えとらんのだろう。」