紅姫と黒猫の夜
第14章 婚約
次の日。
「ねぇジュダルちゃん、本当に大丈夫なんでしょうねぇ?お父様に怒られたりしなぁい?」
ジュダルと手をつないで拝謁の間に向かう紅玉は、不安げに言った。
「だから大丈夫だっつぅの。お前だってつきあうんなら堂々と付き合いてぇだろ?少なくとも俺は、結婚できねぇ恋愛なんてイヤだね。」
「そうねぇ……」
゛結婚゛という言葉に真っ赤になりつつも、紅玉はジュダルの言葉に納得したような返事をする。
すれ違う人々は皆、手をつないで歩く二人を微笑ましそうに見ていた。
もちろんそのたびに紅玉の顔は真っ赤になっていたのだが。
…そして拝謁の間。
「神官・ジュダル殿、第八皇女・練 紅玉姫!」
門番が声をあげる。
もう手はつないでいない。
ギギギ……
拝謁の間の扉が開く。