I'll protect you.
第36章 犠牲
『あら!コウちゃんじゃない!
元気してたのー!?』
「え!?お母さん!?
なんでここに!?」
ドアから聞こえた高い声に驚きながら背の高いコウキ君の後ろから中の様子を見る。
『カナちゃんも元気ー!?』
「はい!お母さんも元気そうで!」
……見覚えがありすぎる
この人……!!
『シン君のお母さん!?』
私の声で急に静かになるとコウキ君は私の手を引いてコウキ君の前に立たせた。
『……もしかして
ユウちゃん……なの?』
昔と変わらない優しい声に何度も何度も頷いた。
すると、シン君のお母さんは私の頬を両手で覆ってシン君に似た優しい笑顔を向けた。
『おかえり…ユウちゃん……』
お母さんの優しい腕に包まれながら、懐かしいぬくもりを確かめた。
『…ただいま……ただいま…っ!』
お母さんは背中を優しくポンポンとリズムよく撫でた。
「ちょっと、母さん!!
こんなとこでやめろって近所迷惑だから!
お前らも家入れ!」
……よかった、シン君元気そう