I'll protect you.
第36章 犠牲
家の中へとみんなを誘導するシン君
そんなのもお構いなしにみんなに笑顔を振りまいて、口を閉じないお母さん。
シン君は半分諦めたように項垂れたけど、私を見るなり優しく笑ってみせた。
「心配かけたよね。
ごめん」
シン君は私の頭を割れ物に触るように優しく撫でて、そのまま私の後頭部に手を移動させてシン君の胸に押し当てた。
『私の方こそごめんね……』
私がそう言うとシン君は私の顔を両手で上に向けさせた。
「優のせいじゃない!!
優は悪いこと何もしてないし、
謝ることないだろ」
シン君の真剣な表情に、私を大切にしてくれている手。
シン君の優しさに胸がキューってなる。
それでも……
シン君には迷惑かけたくなかったな……
きっとお兄ちゃんが関わっているから……
……やっぱり、ごめんね
それでも、私……
シン君と離れたくない……