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ショートラブストーリー

第5章 遥(はるか)

トイレの鏡に写る自分を見る。

何だか元気がない顔してる…。

軽くお化粧直しして、自分に笑いかけて「よし!!」と気合い入れて。

宴会場まで戻っていく途中で



池上くんが、総務部の絵理子ちゃんと、抱き合ってた。



「ふふっ。池上くん、こんな所でダメだよ」

「ん…」

「もぅ、しょうがないなぁ…」

そう言いながらも、絵理子ちゃんは嬉しそうで。

笑顔で池上くんを抱き締めてる。



「遥、遅かったね。…どうかしたの?」

「全然!何もないよ!!」

私はあの後、二人を避けて大回りして宴会場まで戻った。

「トイレに行ったら酔いが醒めちゃった…ビールもらってくる」

今見たこと、千秋にも言えないよね。

そっか。池上くんの 好きな人は絵理子ちゃんだったんだ。

良かったね。完璧両思いじゃん。

…それで私は、完全に失恋したんだ…。

さっきの二人の姿を何度も思い出して飲んでいたら、ちっとも酔えなかった…。

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