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ショートラブストーリー

第5章 遥(はるか)

朝食はビュッフェスタイルの朝ごはん。

まだ頭痛が残ってる私は、野菜とフルーツメインで食事をしていた。

「水沢さん、こんな時でもダイエットですか?」

真後ろで声がした。振り返ると…

「坂口くん…と池上くん。おはよー。二人とも昨日、ありがとう」

「いえいえ。俺は何もしてませんし、礼は慶太にしてやって」

坂口くんが笑いながらいって、それに池上くんが怒ってる。

「おい、剣!」

「ま、確かにあたしと坂口くんは見てただけだからね~」

隣で千秋が茶化しだした。

「礼はいいですけど…水沢さん、それで昼までもちます!?」

「ちょっと頭痛いから。ビタミン摂らないと」

「…また無理してる」

ポツリと池上くんが呟く。

「大丈夫。本当に大丈夫だから」

「今日は大人しくしてようね」

千秋にまで言われると…頷くしかない。

二人が食べ物を取りに行くのを何気なく見てると、千秋が小声で言った。

「あたしさ、池上くんって遥の事好きなんだと思うのよね」

飲んでいた野菜ジュースを吹き出しそうになり、私は思いきりむせた。

「と、突然何言うかと思ったら」

「だって、昨日だって遥運ぶの譲らないし…何だかんだでよく見てると思うよ」

「それは…私が頼りないから…とか…」

昨日、休憩室で言われたことを思い出す。

『何で普段ぬけてるんですかね』

「それに、池上くん、総務の絵理子ちゃんと付き合ってるみたいだよ」

「え!?それはないでしょ!?…だって昨日、二次会で庶務の中嶋さんといいカンジだったよ?」

「…何で!?」

「さぁ…」

「だよね…ごめん」

じゃあ、昨日見たのはなんだったんだろ?

そういえば。

私を運んでくれたとき、なんで

『ごめん』って言ったんだろう…

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