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ショートラブストーリー

第5章 遥(はるか)

「絵理子ちゃんじゃないなら、池上くんは誰に告白したの?」

私の問いに、池上くんが笑うのをやめた。

「誰だと思います?気になりますか?」

「別に。誰かなって思っただけ!!」

本当はすっごく気になる。でもそんな事聞けないよ。

「実は、まだ言えてないんです。なかなかタイミングが悪くて」

「そっか…」

「もしかしてほっとしてます?」

「え!!そんな事…っ」

心の中を読まれたようで、必要以上に否定してしまった。

「水沢さん、あの時、倒れる前に話してたこと覚えてますか」

えっと…何だっけ。

質問の意味が分からずにキョトンとしてしまう。

「俺と絵理子ちゃんが付き合ったらさみしいって言ったんですよ?」

言われた途端、あの時の話を思い出して、私は顔が赤くなった。

そんな私を見て、池上くんはのどの奥でクックッと音をたてて笑う。

「なっ…何よ!?」

「いや…そういうとこがやっぱり水沢さんだよなーって」

「え…?」

「俺の事、好きですか?」

突然そんな事言われて、どう反応したらいいの!?

「はっ…!?」

「俺、水沢さんが好きです。凛としてるとこも、ちょっとぬけてて目が離せないとこも」

それは…嬉しいけど、何か複雑な気分…

「水沢さん」

池上くんが私の横に移動して、じっと見ている。

「俺の事、嫌いですか…!?」

その聞き方、ズルいよ…っ!!

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