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ナイトウォーキン

第1章 後悔のスタンプ

だべりがヒートアップして徐々に夜が明けてきた。

辺りは月光の灯火から徐々に朝焼けの日の光に移り変わろうとしていた。

「P君、そろそろ朝になりそうだけど、これからどうするの?」

『もうこんな時間か。すっかり明るくなってしまったなあ。』

ふとAはPの瞳を覗くとこれまで死んだ魚の眼差しだった瞳が朝焼けの日の光のせいか、どことなく鮮度の良いカジキマグロの瞳に変わっているような気がした。

『何だか煙いな… タバコ吸ってないよね? あ、これは僕の身体から舞って来てるんだなあ…。』

「P君、ホントにこの後どうするの? これ以上外にいたらヤバいんじゃないの?」

Pの身体から放出される死煙を目のあたりにしたAはバンパイアに日光は天敵だという事を深刻さをもって理解し、本気でPの身が心配になってきた。

『…A君、僕決めたよ!』

「え?」

『生き永らえる為に孤独な罪悪感を感じ続けるのにはもううんざりなんだ!』

「ええ!? そ、それは、つまり…」

ブランコから飛び降り、身体を大の字に大きく広げたP。羽織ったロングブラックコートが頭上高らかに棚引く。

朝日がついに頭を覗かせた。

鋭い陽光が容赦なくPを照りつけた。

その瞬間、Pは激しく爆発した。

爆風と共にPの遺灰がA目掛けて降り注ぐ。

Pは消滅した。
自責の念に嫌気が差してAの目の前で登りたての太陽光を直に浴びて自害を図ったのだ。それは見事に成功した。

唖然とするA。

陽光が眩しく照りつけている。

身体に付着した遺灰を悲し気に見つめるA。風がそよぎ遺灰はAの身体からすべり落ち、公園の砂庭と一体となってPは文字通り跡形もなく消滅した。

その日にひょんな出会いから打ち解けて友達になったバンパイアPに思いを馳せるA。

自身の目前で自害したワンナイトフレンド。

Pの命懸けの決意。

不意に涙がAの頬を伝う…

こぼれ落ちた涙の雫はPの遺灰と一体となった地面に滲む。

その時、朝日に照らされながらAは悟った。

このままでは身を滅ぼす。

自分を守るためには風俗から卒業し清い恋愛を求めて生きてゆこうと。

燦々と照った朝日を浴びながら決意新たに家路に向かうAであった……



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