不良の道
第4章 兄貴と…
[……襲っていいか?]
……
まただ。
また、『襲っていいか?』って聞こえた。
空耳なのか、それとも
単に、俺の耳が可笑しいのか…
兄貴がそんな事
言うはずがないのに
分かってるのに…
どうして…
胸がドキドキするのか
もしかして病気とか?
どうしよう。
俺まだ死にたくない…
[颯斗?どうしたんだ?]
[俺、病気かもしれない……]
[あ゛?何言ってんだょ?]
[…胸がドキドキするだよ!
心臓が破裂しそうなぐらい!!]
[………お前……]
兄貴は驚いていた。
何を驚いているのかは分からない。
もしかしたら、何の病気か分かったのかも知れない……
俺は兄貴の肩に手を置いた。
[なぁ!?やばいだろっ!
俺まだ死にたくねーよ!]
そう言って肩を揺さぶる。