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Principem auro

第2章 空白の歴史

ぱら…

教室では教科書をめくる音。
静かな教室に教師の声だけが響いた。

「今日は古代の国について話すわ。
教科書をみなさい。

古代にある王国が栄えたと言われているわ。
その王国の名前は『カトレア』
今のような便利なものはなかったはずなのに、とても豊かで平和な国だったようね。

最も栄えた時の王は女性だったと言われているわ。
何故か、『金に輝く』と伝えられているの。
騎士の制度もあって、その時期では他の国と比べても最も安定した政治が行われたと推測されている。」

「先生!
推測ってことはまだちゃんとわかってないんですか?」

先生の話に興味を示した一人が手を挙げた。

「そうね、わかっているのはこれだけ。
同じ時期の他の国についてはわかるのにこの国についてはほとんど残っていなくて、さっきまでの話も他の国の文献の一部よ。
つまり、カトレア国が残した文書はまだ一つも見つかっていないの。
カトレアという王国が本当に存在していたのかどうかさえきちんとわかっていないのよ。

だから歴史家達は『空白の歴史』
と呼んでいるわ。
その時代の話が詳しくわかったらそれは世紀の大発見になるでしょうね。」

そこまで先生が話したところで授業の終わりを告げるチャイムがなった。

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