禁断兄妹
第33章 熱帯夜 ~ひとつになる夜~
バルコニーで口づけた時のように
私を見上げているお兄ちゃん
さっきよりも甘く獰猛な色を帯びた瞳
まっすぐに見つめられて
強く抱きしめられているかのように
息が苦しい。
「お兄ちゃん‥‥」
「うん‥‥?」
呼びかけると
射るような瞳の強さが和らいで
優しい顔をしてくれる。
私が呼べば
いつもそう
私が望むめば毒でも飲むって
それはきっと本当だろう
「どうした‥‥?」
優しく囁いて
両手で髪を撫でてくれる。
鼻の奥が
つんと痛い。
お兄ちゃん
本当にいいの
今ならまだ
引き返せる
「後悔しない‥‥?」
思い切って口にしたけれど
声が震えた。