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えっちな文藝部の活動報告書

第6章 媚薬の効能

ある日のこと。
俺が部室にやって来ると既にみずほがやって来ていた。

文藝部に一番興味がなさそうだったみずほが一番最初にやって来ているのを見て何故だか少し嬉しく感じる。

「おっ、みずほもう来ていたんだな」

「えっ……あぁ」

みずほはチラッとだけ俺の方を見て、再び漫画雑誌に視線を戻す。

来るといっても漫画を読むか、ゲームをするか、宿題をやるかなのだが。

それでちゃんと部室にやって来るみずほに少し嬉しくなる。

ちなみにサッカー部に入部するのは諦めたらしい。

うちの学校の女子サッカー部は弱小な上、部員が五名しかおらず、入部したところで練習しか出来ないからだ。

みずほからやや離れたところで俺は文庫本を取り出して読み始める。

いまは村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を読み直している。

退廃的な世界観が魅力的でつい何度も読み直してしまう作品だ。

「お疲れさまー」

しばらく遅れて部長もやってきた。

野路菊部長は部室にやって来ると私物のノートパソコンを立ち上げるのが日課だ。

そのパソコンで官能小説を書いているらしいのだが、まだそれを読ませてもらったことはない。

カタカタカタカタッとタイプする音だけが部室に静かに響いた。

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