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とある鬼調伏一族の元旦

第1章 元旦の朝

「あ~早く終わらせたいな~」

「書道は嫌いですか、桃花さん」

「あ、蒸苑蒔(じょうえんじ)様!あ、明けましておめでとうございます」

「あけましておめでとうございます」

蒸苑蒔は桃花とは幼馴染で2つ年上だ。

今まで長を勤めていた和尚は体の不調から隠居し、それを機に蒸苑蒔がこの寺の住職になり関東の鬼調伏の長を務めることになった。

24という若さではあるが、腕は確かで若かりし時の和尚を凌ぐとも言われている。

本来なら彼の兄である都築(つづき)が継ぐはずだったが彼は別の道で鬼調伏をするとこの寺を出て行ってしまい、弟である桔梗(ききょう)が蒸苑蒔と名前を変えて継ぐことになった。

もともと武芸に優れていたが、詠唱での調伏にも腕を上げ今や誰もが彼に信を置いている。

そして、桃花が密かに想いを寄せている相手でもある。

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