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とある鬼調伏一族の元旦

第1章 元旦の朝

「あら、桃花さんもう来てたの?」

そう声を掛けて品定めするように桃花をじろじろと見ている。

大方振袖を見ているのだろう。

あやめに着せたものとどっちが上等か。

わかっていてもやはり気持ちのいいものではないが、無言で入ると伯母がなにか言いそうなので新年の挨拶をすることにした。

「はい、明けましておめでとうございます」

「お母様に新しい振袖買ってもらったのね。言ってくれればウチにあるものを貸してあげたのに」

伯母はあいさつどころか桃花の振袖に遠まわしにケチをつけながら部屋の奥へと入っていった。

まるで伯母のうちにある着物の方が上等だと言わんばかりの言い方だ。

今年で桃花も二十歳だ。

だから母が奮発して買ってくれたものなのに。

「よく似合ってるわよ」

そういって嬉しそうな顔をする母が嬉しかった。

なのに、それさえも踏みにじっているようで腹の奥から熱いものが込み上げてくるようだった。

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