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寡黙男子

第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*

手を振って去っていく亮に、高橋くんは、うん。とだけ返事して手を振り返した。


やっと去っていった亮の背中を見ながらため息をつく。




「なんか…ごめんね…。」


「……………何で謝るの?」



え…



「あ、いや…だって…」




予想外の言葉が返ってきて、驚いていたら、突然ガシッと手首を掴まれてドキンっと胸が鳴った。



「えっ…なっ、何っ!?」



何気に初接触。
高橋くんは、しばらく何も言わずに黙ったあとゴニャっと何かを呟いた。



「え?ごめんなんて言った?よく聞こえなかったっ…」


「…………………雨。」



え?雨?



そう聞き返そうとした時、ザァーっと勢いよく雨が降ってきた。



えぇぇっ!?!?
ど、どうしよっ…!



「高橋くん、とりあえず、どっかで雨宿り…ってきゃあっ…」



突然私を掴んだまま歩き出した高橋くんは、来た道を戻りだす。



えっ?ちょっ



「高橋くん?」



そっちに屋根ありましたっけ?

てか戻るより先に行った方が…

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