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寡黙男子

第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*

黙ったまま早歩きで私を引っ張る高橋くん。


手を繋いでるわけじゃないけど、
初めて感じた彼の熱に、心臓がドキドキして止まらない。


もろに、脈掴まれてるし、絶対にドキドキしてるのバレてると思うと、恥ずかしくて、逆にまたドキドキを早めてしまう。



そんなことを考えていると、高橋くんは突然ある家の前に私を引き連れた。



「えっ…あのっ…確かに屋根あるけどさすがに人んちのドアの前っていうのは──」


「………入って」


「え?」



鍵を回して扉を開けた高橋くんを見て、私はきょとんとしたまま固まってしまった。



入ってって…
え?は?



「こっ、ここ、高橋くんち?」


「そう」



う…そ…



「………ごめん。でも濡れるから。入って。」



なんで高橋くんが謝るんだ?



「いやこちらこそ、ごめんっ。びっくりして。」



立ち止まったまま固まっていた私は、我に返って高橋くんのうちに入った。



「おっ、お邪魔しますっ…」



もしかして、今、私すごいラッキーっ!?

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