テキストサイズ

寡黙男子

第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*

ガチャっと音がしてビクッと身体を震わせると、帰ってきた高橋くんが私をじっと見た。



「………来て」


「はっ、はい…」



びっくりしすぎて、はいって言っちゃったし。



言われた通りついていって向かいの部屋に入った。



ピンクを基調としたかわいらしいお部屋…



この部屋は…



「…………これ、姉貴のだけど。」



そう言って高橋くんはテーブルの上のジャージを指差した。



高橋くん…お姉さんいたんだ…。



「そんな…悪いから…」


「…………」


「あの…私、大丈夫だから、気にしないで…?」



さすがにそこまでしてもらうのは…



「…………でも、」


「……?」


「………濡れてる。」



そう言いながら、私の制服をじっと見つめる。
なんか、恥ずかしくて私はうつ向いた。



「けど、お姉さんに悪いし…何も言ってないのに勝手に着るのは…」


「…………大丈夫。姉貴優しいから。」



そうなんだ…。
てか、高橋くんシスコンだったりするのかな?



そう思ってチラと高橋くんの顔を見たけど、やっぱり無表情でよく分からなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ