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寡黙男子

第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*

高橋くんは自分の顎に滴った雨を手の甲で拭ったあと、



「じゃあ」



と言って、部屋から出ていった。



初めて高橋くんちに来て、初めて高橋くんにお姉さんがいることを知って…



そんな状態で勝手にお姉さんの部屋に入って、勝手にお姉さんのジャージ着るって、なんかどう考えても失礼だけど…



あとでちゃんと洗濯して、お詫びとお礼をしようと決めて、私はお姉さんのジャージをお借りすることにした。



うちの学校と同じジャージ?卒業生なのかな?



胸のところに“高橋”って書いてあるのがなんか照れ臭くて、一人で着替えながらニヤニヤした。



腕も足も長い…



余った部分を捲りながら、なんかすごく自分の腕や足の短さを痛感して悲しくなる。



着替え終わったし戻ろ…



濡れた制服を持って、ドアノブを掴んだ時、カレンダーが目に入った。



なんか今日のところめちゃくちゃデコレーションされてる…。
勝手に部屋入ってじろじろ見るのも悪いけど…



って…えっ!?
うそっ!?
うっ、うそだよねっ!?


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