テキストサイズ

寡黙男子

第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*

急いで高橋くんの部屋に戻ったら、高橋くんは日に当たるところに座って、気持ち良さそうに寝てた。



ちょっ…ちょっとっ…!!



「高橋くんっ!?!?」



肩を掴んでガクガク揺らすと、高橋くんはゆっくり瞼を開いて私を見上げる。



「……………なに?」



なっ、何じゃなくて!



「高橋くんっ、今日誕生日っ!?!?」



私が必死になって尋ねると、高橋くんは、はわぁっとあくびしながら、しばらく黙った。



うっ、うそだよねっ
だって…っ
私、なんも用意してないし…



「…………………そうかも」



なんですとぉ~~~!?!?!?



「そうかもって…えっ…どっちなのっ…」



やばい泣きそう…初めての高橋くんの誕生日なのに…こんなことって…。
でも確かにお姉さんのカレンダーには『学、バースデー♪』って…



焦る私とは裏腹に、高橋くんは至って冷静なまま携帯の画面の日付を見た。



「…………うん、今日だ」



えぇぇっ!?



「…………だからおめでとうってメール来たのか」



…っ
普通…気付きますよね!?てかこの年で自分の誕生日忘れるの!?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ