寡黙男子
第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*
すたすたと私のマグカップを奪ってまた部屋から出ていこうとする高橋くん。
えっ…ちょっと…
「違うよっ…!!」
私のココア…持ってかないで…
「………別に他のもあるから。」
クルリと振り返った高橋くんの元に寄って、私は高橋くんの濡れたブレザーの端を掴んだ。
「………好きだから…」
「………」
高橋くんが…───
じゃなくてっ…あ、いや、じゃなくないけどっ…
「あのっ…ココア好きだからっ…」
うつ向いていると、高橋くんは再びマグカップを差し出してくれた。
帰ってきたココアはまだ温かくて…
「あの…ありがとうね」
そう、さっきこれが言いたかった。
「…………うん」
高橋くんはそう素っ気なく返事して、また日に当たる床に座って、ベッドに寄り掛かった。
なんか…
猫みたい。
あ、ココアのせいで眼鏡曇ってるし。
フフっと笑っていると、高橋くんは曇らせた眼鏡を外して私を見た。
それだけでドキッとして、身体が動かなくなる。
「………来る?」
え?来る?
よく分からずに首を捻ると、高橋くんは自分の傍で手をトントンとやった。
「………ここ、暖かいから。」
えっ…ちょっと…
「違うよっ…!!」
私のココア…持ってかないで…
「………別に他のもあるから。」
クルリと振り返った高橋くんの元に寄って、私は高橋くんの濡れたブレザーの端を掴んだ。
「………好きだから…」
「………」
高橋くんが…───
じゃなくてっ…あ、いや、じゃなくないけどっ…
「あのっ…ココア好きだからっ…」
うつ向いていると、高橋くんは再びマグカップを差し出してくれた。
帰ってきたココアはまだ温かくて…
「あの…ありがとうね」
そう、さっきこれが言いたかった。
「…………うん」
高橋くんはそう素っ気なく返事して、また日に当たる床に座って、ベッドに寄り掛かった。
なんか…
猫みたい。
あ、ココアのせいで眼鏡曇ってるし。
フフっと笑っていると、高橋くんは曇らせた眼鏡を外して私を見た。
それだけでドキッとして、身体が動かなくなる。
「………来る?」
え?来る?
よく分からずに首を捻ると、高橋くんは自分の傍で手をトントンとやった。
「………ここ、暖かいから。」