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寡黙男子

第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*

最初は彼の背中が好きだった。


もちろん今も好きだけど。


けど、そんな外見より
高橋のそのぎこちない優しさにどんどん心惹かれている。


直感的に好きになってから、その気持ちがゆっくりと確かになっていくような…初めての感覚。


「うん、行く」


もっと傍にいたいから。


隣に座って、同じようにココア啜りながら、たまにチラッと高橋くんを見る。


かけ直した眼鏡がまた曇ってる。


もう外しちゃえばいいのに……
私しかいないんだから…

私にだけ…素顔…見せてよ…。


「高橋くん…」


「………なに?」


そう言いながら、私の願いが通じたのか、高橋くんは曇った眼鏡を外して私を見た。



「……あの…誕生日…おめでとう」


「……………ありがと」



そっけないなぁ。

まぁこれ以上リアクションしようがないだろうけど。



「ご存知の通り、さっき知ったから、プレゼントとか全く用意してなくて…」


「………」


「あっ…でも用意するからっ…あのっ…何かほしいものあるっ…?」


「………………別にいいよ」



そんなぁ…


怒ってる?


無表情だから分からない。

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