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寡黙男子

第1章 はじめの一歩から *亜紀乃の世界*

「……………嬉しい」


「え…?」


「…………ありがと、亜紀乃…」


っ……


お母さん、お父さん…おばあちゃん、おじいちゃん…ご先祖もろもろの方々…


息ってどうやって吸うんでしたっけ──



「……どっ…どういたしまして……学…」



全然表情読めないけど…
嬉しいって言ってくれたから、嬉しい…んだよね?



「…………晴れた」



窓を見ながら、彼が…学が…呟いた。



「本当だ…」



てか、よく考えたら、さっきから日が当たってたんだから、雨なんかとっくに上がってはずなのに、全然気付かなかった。



「…………送るよ」



そう言って彼が立ち上がった。


あっと言う間だったな…
なんか、よく分かんないことだらけだったけど、ドキドキが止まらなかった。



「たかっ…あ、いや、学…?」


「……………なに?」



帰り道を歩きながら、
学の顔を覗き込んだ。



「私、学の家はうちの先だと思ってて…でも本当は遠回りしてくれてたんだね…
あの…ありがと…」


「…………どういたしまして」



ペコッと頭を下げた学がおもしろくて、ふふっと笑った。

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