
隠れて甘いkissをして
第10章 シゲさん
シゲさんのお店は、JAZZが流れるとても居心地のいいお店だった。
赤レンガの壁に無垢のテーブル、天井からいくつもぶら下がる照明が淡い光を放っている。
その店の雰囲気からか、お客さんも大騒ぎせず、美味しいお酒を飲みながら、それぞれの時間を楽しんでるようだ。
「はい、どうぞ」
置かれたのはビールではなく、見た目が美しい赤いカクテルだった。
「美味しい!」
スッキリとした喉越しに、思わず声が出た。
「一応ビアテイストだけど、ちょっと甘くていいでしょ。
でも結構強めだから、ゆっくり飲んだ方がいいよ」
「…………」
………よし。
私はもう一口飲んで、深呼吸をする。
