テキストサイズ

隠れて甘いkissをして

第2章 突然の出逢い

私を半ば強引に引っ張って、彼はBARの中に入ると

カウンターの中にいる店員さんに向かって声をかけた。


「シゲさん。タクシー店の前まで呼んで」

「あれ、隼人戻ってきたんか?
なんでタクシーなんか……うわっ!」


シゲさんと呼ばれたマスターは、私を見るなり驚いた声を上げる。


「あんた……なんて格好してるんだ」


雨に濡れ地面に転がった私は、引くくらい哀れな姿になっているようだ。


「酔っ払いなんだよ。
これ以上歩かせるの可哀想だからさ」


彼はカウンターに座って、楽しそうに笑った。


………今、“ はやと ” って呼ばれてた………

この人の名前、隼人っていうんだ………


マスターが電話をしてくれて、タクシーはすぐに来るらしい。


「裏口の方にって言ったから、もう出て待ってればいいさ」

「サンキューシゲさん。
ほら、行こうぜ」


……裏口……?

さっきの通りとは逆にある、店の奥側へ彼は歩いていく。

不思議に思いながらも、私はマスターに頭を下げた。


「すみません、ありがとうございました」

「どういたしまして。今度はゆっくり飲みに来てね」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ