
隠れて甘いkissをして
第31章 疑心
「出よう」
立花は私の手から週刊誌を取り、元の場所に戻す。
そのまま一緒に店の外に出た。
足元がふらつく。
「咲原、あんな記事気にするなよ?」
立花が小さい声で話してくれる。
「あんなの、今書くネタが無いから過去を掘り起こしただけだよ。
記事の最後の方に、七瀬隼人はフリーのようだ、今の彼女は分かっていないって書いてあったし。
お前との事はバレてないってことだ。
心配するなよ、な?」
優しく、私の頭をポンポンとたたく。
それでも、心は穏やかにならない。
「……立花。
前に飲んだ時、隼人の周りには常に女がいて、週刊誌なんかにもよく撮られてるって、言ってたよね」
今まで無意識に抑えていた、隼人の過去を知りたいという、私の黒いドロドロしたようなものが湧き上がる。
