
隠れて甘いkissをして
第36章 告げられた現実
夕方の6時を過ぎたところで、私は会社を出た。
「………………」
いないって分かっていても
無意識に、大通りに彼の姿を探してしまう。
アンジーが、いつも帰りはこの道を通るって言ってたけど
そんなうまく偶然が重なるわけないよね。
そんな事を1人で思いながら、歩き始めて少しすると
私が歩く横を、1台の車がすっと近付いてきた。
「……………!」
あまりに近くに寄ってきたから、思わず体が仰け反ったほどだ。
その黒いセダンの後部座席の窓があくと
中から現れた姿を見て
私はドクンと心臓が鳴った。
「………こんばんは 」
