
隠れて甘いkissをして
第36章 告げられた現実
「車に乗って。
もう少し行った所に駐車できるから。
……別に攫ったりなんかしないわよ」
私が黙って見ていると、彼女はクスッと笑った。
「何よ、怖いの?
乗らないなら、有無を言わさず隼人を返してもらうわよ」
「…………!」
その一言に、何かがこみ上げてくる。
隼人を……返してもらう?
あなたのものじゃないわ……!
私は無言のまま、車のドアを開けて中に入った。
「行って」
彼女が運転席に声をかけて、車は駅から少し離れた小道に向かって走り出した。
