
隠れて甘いkissをして
第38章 別れる理由
言葉が出ない俺に向かって翔太は続ける。
「俺は、お前が麻里奈ちゃんの話した前回の飲みの時点で、実は確信してたよ」
「…………!」
「麻里奈ちゃんは可愛いし、女の子の鏡みたいな子だけど。
麻里奈ちゃんと付き合った後も、彰が俺や他のダチに話すのは、いつもその咲原っていう同僚の事ばかりだった。
爽やかなお前にだって、仕事のストレスはあるだろ。
麻里奈ちゃんの為にしている、意味不明な毎週のお迎えや店の予約だってそうだ。
それを無意識に発散できてるのはどこだ?」
翔太はタバコの煙をはきながら、真っ直ぐに俺を見た。
「……彰。
お前にとって、お前が1番自分らしくいられる相手はどっちだよ?」
「…………!」
自分が、自分らしくいられる相手………
「気になってるとか、自分の気持ちが落ち着かないってのは、単なるお前の偽善な言い訳だ。
男のくせにジメジメしてんじゃねーよ。
そいつを女として見始めて、お前はもう心変わりしたんだ。
認めな、彰。
咲原っていう同僚を、好きなんだろ?」
