
隠れて甘いkissをして
第42章 最後の夜
「…………………」
……………絶句。
体が一瞬で固まった。
隼人があまりにも穏やかに話すから、少しの間、理解が追いつかなかった。
隼人の……
お父さんもお母さんも……
もうこの世にいないなんて………
「………驚かせてごめんね」
隼人は私の頭を撫でながら続けた。
「聞く方としては、こんな話されたくないよな。
それについては詳しく話さないから、そんな顔しないで。
両親が死んでから月日は流れたし、俺はもう大丈夫なんだ。
シゲさんを始め、周りの環境に恵まれたから」
「…………っ」
隼人の笑顔が優しくて、私は涙が溢れそうになる。
初めて、隼人の過去のひとつに触れた。
………それが、こんなに悲しい話だとは思わなかった。
