
隠れて甘いkissをして
第42章 最後の夜
「俺自身、シゲさんに引き取られてから、普通に生きているつもりだった。
だけど、やっぱり無意識に心のバランスが崩れてるらしくて
俺は誰に対しても、常に “ 演技 ” をしていたらしい」
「……演技……?」
カクテルを一口飲んで、隼人は続ける。
「演技ってのはあくまでもシゲさんからの目線だけど。
要は、尋常じゃない程、人に気を遣ってたんだよ。
中学のガキが、気持ち悪いくらい周りに合わせて発言したり、行動したりする姿が異常だったんだってさ。
………まあ、それは今でも多少は残ってるかもな。
そのお陰で鍛えられたかなんか知らないけど、相手の考えてる事が直感で分かることが多い」
「……………」
………それは、納得した。
私が知る限りでも、隼人は明確に見抜く力が鋭い。
まさかそれが
こんな経験からだったなんて………
