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隠れて甘いkissをして

第42章 最後の夜

「シゲさんは何とかして、両親が死ぬ前の俺に戻そうと必死だったらしい。

あの爺さん大金持ちなんだけど、変に俺がスレるのを心配して、ごく普通の生活をさせようとしていたんだ。

なんとなくそれは俺にも伝わってたから。

普通に大学に入って、普通に就職したんだよ」




隼人がこんなに自分の事を話してくれるのは初めてだった。

いつも、私の話ばかり聞いていてくれたから。

隼人の一言一言を聞き逃さないように、私は食い入るように隼人を見つめた。




「でも、そうは言っても人間思い通りには生きられないわけで」




隼人が笑う。




「学生の時から、やたら今の業界からスカウトされててね。

前にも言ったけど、興味ねぇからずっとシカトしてたんだけど、その中でもアンジーだけはマジでストーカーだった。

家から学校から、どこ行ってもいるんだよ」




アンジーがあの勢いで隼人をスカウトしたんだ。

想像すると少し笑ってしまう。

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