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隠れて甘いkissをして

第44章 衝動


「……先輩…!」

「……咲原……」




2人は会話をピタッと止めて、私を同時に見た。

……………?




「………? なに?」

「わあぁん!!
先輩がやっと笑ったーー!!」




叫んだ香ちゃんが立ち上がり、背伸びして私に抱きついてくる。

香ちゃんの急なハグに驚いていると

その隣りから、立花が口を開いた。




「咲原、結構前からずっと笑ってなかったからさ。
心配してたんだよ、俺も、海老沢も」

「……………!」

「良かった。
お前は笑ってる方がいいよ」




香ちゃんはぎゅうっとしがみついて、嬉しそうに笑っている。




「………ごめんね。……ありがとう」




………嬉しかった。

ずっと笑えていなかったことは、自分でも気付いていたけど

それを心配してくれていたことに、心が熱くなった。




「………ほら、飲もうぜ。
今日は俺が出すから」




立花がビールを私の前に近付ける。




「………うん」




私はもう一度微笑んで、2人と一緒に乾杯をした。


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