
隠れて甘いkissをして
第49章 七瀬隼人
………そんな………
「最初にそれに気付いたのは、妹が隼人の事を “ レオ ” と呼んだのを聞いた時だった。
レオというのは、隼人の父親の名前でな。
まさかと思って、隼人を呼んで聞いたら………
あいつはニコッと笑って、小さな声でこう言った」
シゲさんは少し遠くを見るような目で、隼人の言葉を続けた。
『叔父さん、いいんだ。
母さんはいつも家で泣いているけど
俺を父さんの名前で呼ぶ時だけは、笑ってくれる。
笑って俺を見てくれるんだ』
「……………っ」
アンジーが片手で顔を覆う。
……私は……
瞬きすら出来なくなった瞳から
涙が落ちるのを止める事が出来なかった。
