
隠れて甘いkissをして
第49章 七瀬隼人
小学生なら、まだまだ親に甘えたい時だ。
お父さんがいないなら、なおさら……
それなのに、隼人は……
「妹が笑っていられるように、隼人はそれからも母親の前だけ父親になりきっていた。
両親も俺も、その光景を見るのがいたたまれなくてね。
何度も何度も……妹に目を覚ますように言おうとしたが、隼人自身がそれをさせてくれなかった。
たとえ自分を見てくれなくても
演じ続けなくてはいけなくても
……ただ、母親の笑顔が見たかったんだ」
「…………っ」
「それに、例え言えてたとしても……
既にもう、手後れだったんだ」
「……手後れ……?」
私が聞くと、シゲさんは今までで1番辛そうな顔をして頷く。
