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息もできない

第15章 謝って欲しいわけじゃ

抱き締められながら、春陽の首元に俺があげたネックレスを見つけて


あ……ちゃんとつけてくれてる


ってまた幸せになる


「朗にワイン買うときに会ったのか…?」
「うん、そうだよ」
「そっか……よかった」
「ふふ」


珍しく、今日の春陽は弱気だね


なんて思っていると春陽がそっと身体を離して俺が握っていたワインを見た


「でもこれ、飲めないよ」
「どうして?」
「こんな大切なもの、いつ飲むの」

え、それフリ?

「……今でしょ?」
「いや、そうじゃなくて」

春陽にくすくす笑われて
ワインが飲めないならこっち使ってと思って春陽を引っ張って今度は寝室に入った


「なにこれ、この……大きいの」
「ぬいぐるみ」
「え、俺に?」
「うん」

春陽は包みを開けて中身を確認すると

「可愛い、けど…俺に似合わなくない?」

ってなんだか予想通りな反応するから

「俺の代わりに、ずっと側に置いておいて?」

とかちょっとかわいこぶってみた
するとまた「可愛い」って抱き締められて



「ーーこんなにたくさん用意してたのか。料理だってあんなにたくさん用意してくれたのにな」


春陽が申し訳なさそうな声を出した


もう、いいよ


「今、ここに春陽がいて…俺のこと好きって言ってくれるなら、いいよ」

「好き」

「うん」

「好きだ」

「うん……俺も」

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