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息もできない

第20章 大崎さんの

次の日
昨日言っていたとおり春陽は俺の家を訪ねてきた


インターフォンで確認してから、春陽を家に招き入れる


「ちょっと待ってね。今お茶淹れるから」


と春陽にソファに座るように促してから、俺がキッチンへ行こうとすると


「待った。その前に、話したい」


と腕を掴んで止められた

そんなに急ぎの用事なのか、と疑問に思いつつ
もう一度座るように促すけど春陽は座りもしない


お茶はまだしも
座ってもくれないの…?
この後大事な用事でもあるんだろうか


俺が不思議に思っていると春陽は何の前置きもなく言い放った





「ーーー俺と、別れてほしい」


「……………え?」





一回目の春陽が大崎さんと歩いていた現場を見た時も結構なショックだったけど
あんなことなんか比にならないぐらい
その言葉は俺に衝撃をもたらした



「ーーなんで?」



とようやく絞り出したその声は弱々しく震えている

けど

俺の言葉に返事をする春陽は無表情で

まるで何も感じていないような

作業でもするかのような

無機質な顔で、声で



俺の、一番傷つくような言葉を平気で言ってみせる



「直のこと、好きじゃなくなったから」



泣くなよ、俺


俺は奥歯を砕けるほど強く噛み締めた

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