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息もできない

第20章 大崎さんの

誰もいなくなった自分のアパートで、俺は廊下に座り込んだ

手のひらに爪が食い込んで血が出るほど強く手を握りしめる



春陽が俺に別れを告げた理由はきっと大崎さんにある

昨日の朝までメールに違和感はなかったし、そもそも別れるつもりの人が同棲するなんて内容のメールを普通にするなんてあり得ない


…昨日、大崎さんと春陽は一緒にいた
あの時何かあったんだ

その何かがあったから春陽は俺に別れを告げたんだ


きっと



これは俺の想像だっていう可能性も捨てきれない
でも信じたい

最悪、あの言葉が春陽の本音でも良い
春陽が幸せなら良い


だからそれがわかるまで
俺は諦めないし
泣かない


理由が、納得できるまで
それまでは絶対泣かない


と決めたはいいものの

流石に泣くのを我慢するのが精一杯で何をするとか頭も回らない
俺はリビングに戻ってソファに寝転んだ


ほとんどのものがダンボールに詰められた、質素な部屋
もう明日引っ越すこともない
むしろ引っ越すことがあるのかもわからない


俺は、せっかく荷造りしたものを明日から解きながら生活していかなきゃいけないなーなんて考えを余計な方向に向かわせて気を紛らわせながら
眠りについた

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